EPWINGの辞書構成は、CATALOGSという名のカタログファイルで定義します。ここでは、その定義方法について解説します。
まず、CATALOGSファイルを定義するためのデータ形式を解説します。たとえばWikipedia用のデータは、次のようなものです。
[Catalog] FileName = catalogs Type = EPWING1 Books = 1 [Book] BookType = 5001 (50:百科事典, 01:EPWING1) Title = "ウィキペディア日本語版" Directory = "WIKIP" InfoBlock = 0001 ZenGaiji = "GAI16F" HanGaiji = "GAI16H"
これらの項目の意味は、後述するcatdumpのマニュアルで次のように解説されています。
項目名 | 説明 | 対応状況 |
---|---|---|
FileName | カタログファイルのパス名 | 全バージョン |
Type | カタログ形式 (電子ブックまたはEPWING) | |
Books | カタログに含まれる書籍数 | |
BookSelect | 書籍選択画面の書籍番号 | EPWING V2 |
Reserved | ハードディスクインストールやネットワークインストールの可否 | EPWING V4 |
項目名 | 説明 | 対応状況 |
---|---|---|
BookType | 書籍種別 (電子ブックの場合は詳細不明) | 全バージョン |
Title | 書籍名称 (電子ブックは15文字、EPWINGは40文字まで) | |
Directory | 書籍本体の置かれたディレクトリ | |
DirPos | ディレクトリ位置 (ハードディスクにインストールした場合は無関係?) | |
InfoBlock | 書籍本体にある書籍情報のブロック番号 | EPWING |
AppDef | アプリケーション定義の情報 (詳細不明) | |
ZenGaiji | 16/24/30/48ドットの全角外字ファイル名 (8バイト×4) | |
HanGaiji | 16/24/30/48ドットの半角外字ファイル名 (8バイト×4) | |
BookFile | 書籍ファイル名 (通常はHONMON。HONMON2ならEPWING V4以降の圧縮ファイル) | EPWING V2以降 |
StreamFile | ストリーム (動画・音声) 書籍ファイル名 | |
Reserved1 | 詳細不明 (EPWING V4以降の圧縮フラグなど?) | |
Reserved2 | 詳細不明 | |
Padding1 | 詳細不明 (おそらく空白) | |
Padding2 | 詳細不明 (おそらく空白) | |
Padding3 | 詳細不明 (おそらく空白) |
項目の値は、次の条件を満たさなければなりません。
よって書籍の名称を指定するTitleには、全角文字しか指定できません。
カタログファイルの作成はcatdumpで行え、これでテキストファイルとカタログファイルを双方向に変換できます。catdumpはEPWUTILに含まれますので、まずはそれをダウンロードします。
EPWUTILのダウンロード : Vector ソフトを探す!
catdumpは、64bit環境では実行できません。
catdumpの書式は以下になります。
catdump [-d] [-u テキストファイル] カタログファイル
カタログファイルをテキストファイルに変換するには、コマンドプロンプトから
catdump.exe CATALOGS > catalogs.txt
のように実行します。一方でテキストファイルをカタログファイルに変換するには、
catdump.exe -u catalogs.txt CATALOGS
のようにします。
なおEPWUTILに含まれるcatdump.manがcatdumpのマニュアルになりますので、使用方法はそちらが詳しいです。
ユーティリティー | 説明 |
---|---|
catdump | カタログをダンプ/アンダンプするプログラム |
bookinfo | 書籍管理情報を表示するプログラム |
squeeze | 書籍ファイルを軽量化するプログラム |
catdumpは64bitの環境に対応しないため、以下のように「サポートされていない16ビット アプリケーション」として実行時にエラーとなります。
「64 ビット バージョンの Windows での非互換性のため、プログラムまたは機能である "\??\C:\CATDUMP.EXE" を開始または実行できません。ソフトウェア製造元に問い合わせて 64 ビット Windows 互換バージョンが利用可能であるかどうか確認してください。」
このような場合には、XP Modeなどの仮想マシンから実行します。