表意文字 (ideogram)
広い意味では、事物の概念を表わす文字をいう。厳密な意味では文字は言語単位に対応するものであるから、絵文字などは含まれない。この場合の言語単位とはほとんどの場合単語なので、その観点から表語文字ともいう。
シュメール (スメリア) 文字が、知られるかぎり最古の表意文字で、そのほか
- エジプトの象形文字
- ヒッタイト象形文字
- 中国の漢字
がよく知られている。
- エラムの、原始エラム文字 (前3000~2200)
- インダス川流域で発見された、原始インド文字 (前2200)
- クレタ島などの、クレタ象形文字 (前2000~1200)
も表意文字であるが、解読は完成されていない。これら表意文字は、程度の差はあってもすべて表音主義 (表音文字) も併用している。
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表音文字 (phonogram)
言語単位としての音節または音素を表わす文字。前者を音節文字と呼び、後者をアルファベット (音素文字) と呼ぶ。
音節文字の例としては日本のかながあり、アルファベットの例としてはローマ字やギリシア文字がある。またハングルのように音素を表わす要素を組合せて音節を表わす一個の文字をつくったり、デーバナーガリー文字のように母音を付属的な符号で表わしたりする方式は、音節文字とアルファベットとの中間をいくものといえよう。
歴史的には、表意文字から音節文字へ発達し、音節文字からアルファベットが出てきた。なお表音といっても音声記号などと違って、その言語の音を発音されるとおりに忠実に表わすものではないのが普通である。
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種類 | wide | electricity | false | circle | sound |
---|---|---|---|---|---|
日本語漢字 | 広 | 電 | 仮 | 円 | 声 |
繁体字 | 廣 | 電 | 假 | 圓 | 聲 |
簡体字 | 广 | 电 | 假 | 圆 | 声 |
現在では使用されていない文字や非公式な文字などがあるため、その総数は不明です。Number of characters - Chinese characters - Wikipedia
漢字には意味や読みが同じでも、字形が異なる文字があります。
一方で文字コードにおいては、字形が似ているが異なる文字に、同一のコードが割り当てられている場合があります。
読み | 表記 | JIS X 0208 | JIS X 0212 (0208の補助漢字) |
JIS X 0213 (0208の拡張漢字集合) |
Unicode |
---|---|---|---|---|---|
かき | 柿 | 3341 | 3341 | U+67FF | |
こけら | 杮 | 4323 | U+676E |
漢字を廃止するのではなく、使用数を制限する政策です。
音節文字 (syllabary)
音節を単位として表わす表音文字。日本語のかながよい例で、ローマ字のアルファベットならばkaと2字になるところを、「か」または「カ」の1字で表わす。
かなのほかに、
- 前2000年紀にシュメールやアッカドの表意文字を借用してつくられたメソポタミア諸族の、楔形文字を用いた音節文字
- フェニキア、アラム、ヘブライ、アラビア、エチオピアなどの西セム文字
- キプロス文字などを含むエーゲ文字
- アメリカインディアンのチェロキー族の文字
- アフリカのバイ族の文字
などが、音節文字の例である。
朝鮮のハングルやインドのデーバナーガリー文字のように、個々の文字 (群) としては音節を表わすが、さらに音素を表わす要素に分解できるものもある。シュメール語やエジプト語のように、表意文字や象形文字で書かれる言語も、音節文字を含んでいることが多い。
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音節 (syllable)
それ自身のなかには切れ目がなく、その前後に切れ目の認められる単音または単音連続をいう。構造上、子音で終るものを閉音節、母音で終るものを開音節という。英語の[d]「犬」は前者、日本語の[me]「目」は後者の例。
一般に、1つの母音を中心にその前 (後) に子音がついた形をなすが、しかし、音節の規定は、結局音韻論的観点が必要となってくる性質のものであるため、その音声学的定義は困難で、学者によりさまざまである。
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- O.イェスペルセンは「きこえ」の相対的頂点の数に音節の数を求め、
- ソシュールは呼気の通路の「ひらき」が閉鎖に向うものを内破音、開放に向うものを外破音とし、内破音から外破音に移るところに音節の切れ目を求めた。
- M.グラモンは「ひらき」のほかに発音の際の諸器官の緊張の増加 (漸強音) 、減少 (漸弱音) の観点を持込み、漸弱音から漸強音へ移るところに音節の切れ目を求めるとともに、漸強性と「ひらき」の増大、漸弱性と「ひらき」の減少がそれぞれ一致する音節を「音声学的音節」、一致しないが現実の言語に見出される音節を「音韻論的音節」と呼んだ。
- 服部四郎は、モーラとは別に各言語において一定の構造をもつ「音韻的音節」と、実際の発話に生じる「音声的音節」とを区別した。東京方言の「オカアサン」は5モーラから成り、[o|ka:|saN]/'o|kaa|saN/と音節が切れ、音声的3音節、音韻的3音節である。一方、/hasi/「箸」は2モーラから成り、音韻的2音節であるが、音声的1音節に発音されることもあるとする。なお、日本ではこのモーラをさして「音節」と呼ぶ人も多い。
日本語の音を表記するために、漢字を仮名のように用いた文字です。
発音 | 文字 |
---|---|
あ | 安、阿など |
い | 伊、射など |
う | 宇、烏など |
︙ |
基本字母 | 合成字母 | ||
---|---|---|---|
字母 | 音 | 字母 | 音 |
ㄱ | [k/ɡ] | ㄲ | [ʔk] |
ㄴ | [n] | ||
ㄷ | [t/d] | ㄸ | [ʔt] |
ㄹ | [r/l] | ||
ㅁ | [m] | ||
ㅂ | [p/b] | ㅃ | [ʔp] |
ㅅ | [s/ɕ] | ㅆ | [ʔs/ʔɕ] |
ㅇ | [ŋ] | ||
ㅈ | [tɕ/dʑ] | ㅉ | [ʔtɕ] |
ㅊ | [tɕʰ] | ||
ㅋ | [kʰ] | ||
ㅌ | [tʰ] | ||
ㅍ | [pʰ] | ||
ㅎ | [hʰ] |
基本字母 | 合成字母 | ||
---|---|---|---|
字母 | 音 | 字母 | 音 |
ㅏ | [a] | ㅐ | [ɛ] |
ㅑ | [ja] | ㅒ | [jɛ] |
ㅓ | [ɔ] | ㅔ | [e] |
ㅕ | [jɔ] | ㅖ | [je] |
ㅗ | [o] | ㅘ | [wa] |
ㅙ | [wɛ] | ||
ㅚ | [we] | ||
ㅛ | [jo] | ||
ㅜ | [u] | ㅝ | [wɔ] |
ㅞ | [we] | ||
ㅟ | [wi] | ||
ㅠ | [ju] | ||
ㅡ | [ɯ] | ㅢ | [ɯi] |
ㅣ | [i] |
अ आ इ ई उ ऊ ऋ ऌ ऍ ऎ ए ऐ ऑ ओ क ख ग घ ङ छ ज झ ञ ट ठ ड ढ ण त थ ध न ऩ प फ ब भ म य र ऱ ळ ऴ व श स
(Unicode:0905~0938) デーバナーガリー文字|学会誌・学術印刷全般・学会事務委託なら中西印刷音素文字 (phonogram) / アルファベット (alphabet)
ある言語を表記するために用いられる文字全体を伝統的に決った順序に配列したもの。
厳密にはその言語の音素を表わす方式の表音文字をいうので、絵文字や表意文字はもちろん、日本語の仮名のような音節文字も除外される。この狭義では音素文字と呼ばれることも多いが、普通、その言語の音素に正確に対応しているわけではないので、単音文字と呼ばれることもある。
アルファベットという名は、ギリシア語のアルファベットの最初の2字、アルファ (α) とベータ (β) に由来するが、ギリシア人が最初にアルファベットを発明したわけではなく、彼らはセム族の文字を借用して発展させたのである。ギリシア文字がエトルリアを経てローマに伝わり、現在多くの言語のアルファベットに使用されるローマ字になった。
ロシア語のアルファベットのもとになったキリル文字も、ギリシア文字の系統をひく。ギリシア文字と同じ北セム系統の文字にアラム文字があり、それからアラビア文字、ヘブライ文字が発達した。
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A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z (sans-serif)
A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z (serif)
a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z (sans-serif)
a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z (serif)
À Á Â Ã Ä Å Æ Ç È É Ê Ë Ì Í Î Ï Ð Ñ Ò Ô Õ Ö Ø Ù Ú Û Ü Ý Þ ß à á â ã ä å æ ç è é ê ë ì í î ï ð ñ ò ó ô ö ø ù ú û ü ý þ ÿ Ā ā Ă ă Ą ą Ć ć ĉ Č č Ď ď Đ đ Ē ē Ĕ ĕ Ė ė Ę ě Ĝ Ğ Ġ ĥ Ħ ħ Ĩ ĩ Ī ī Ĭ ĭ į İ IJ ij Ĵ Ķ ķ ĸ Ĺ ĺ ļ ľĿ ő Œ œ Ŕ ŕ Ŗ ř Ś ś Ŝ ŝ Ş ş Š Ţ ţ Ť ť ť Ŧ ŧ Ũ ū ŭ Ů ů Ű Ų ų ų Ŵ ŵ Ŷ ŷ Ź ź Ż ž ſ
ラテン文字|学会誌・学術印刷全般・学会事務委託なら中西印刷Α Β Γ Δ Ε Ζ Η Θ Ι Κ Λ Μ Ν Ξ Ο Π Ρ Σ Τ Υ Φ Χ Ψ Ω (sans-serif)
Α Β Γ Δ Ε Ζ Η Θ Ι Κ Λ Μ Ν Ξ Ο Π Ρ Σ Τ Υ Φ Χ Ψ Ω (serif)
(Unicode:0391~03A9)α β γ δ ε ζ η θ ι κ λ μ ν ξ ο π ρ ς σ τ υ φ χ ψ ω (sans-serif)
α β γ δ ε ζ η θ ι κ λ μ ν ξ ο π ρ ς σ τ υ φ χ ψ ω (serif)
(Unicode:03B1~03C9) ギリシャ文字|学会誌・学術印刷全般・学会事務委託なら中西印刷大文字 | 小文字 | 英語表記 | カナ表記 |
---|---|---|---|
Α | α | alpha | アルファ |
Β | β | beta | ベータ |
Γ | γ | gamma | ガンマ |
Δ | δ | delta | デルタ |
Ε | ε | epsilon | エプシロン / イプシロン |
Ζ | ζ | zeta | ゼータ |
Η | η | eta | エータ / イータ |
Θ | θ | theta | テータ / シータ |
Ι | ι | iota | イオータ / イオタ |
Κ | κ | kappa | カッパ |
Λ | λ | lambda | ラムダ |
Μ | μ | mu | ミュー |
Ν | ν | nu | ニュー |
Ξ | ξ | xi | クスィー / クサイ / グザイ |
Ο | ο | omicron | オミクロン |
Π | π | pi | ピー / パイ |
Ρ | ρ | rho | ロー |
Σ | σ | sigma | シグマ |
Τ | τ | tau | タウ |
Υ | υ | upsilon | ウプシロン / ユプシロン |
Φ | φ | phi | フィー / ファイ |
Χ | χ | chi | キー / カイ |
Ψ | ψ | psi | プスィー / プサイ |
Ω | ω | omega | オメガ |
А Б В Г Д Е Ж З И Й К Л М Н О П Р С Т У Ф Х Ц Ч Ш Щ Ъ Ы Ь Э Ю Я
(Unicode:0410~042F)а б в г д е ж з и й к л м н о п р с т у ф х ц ч ш щ ъ ы ь э ю я
(Unicode:0430~044F) ロシア文字|学会誌・学術印刷全般・学会事務委託なら中西印刷א ב ג ד ה ו ז ח ט י ך כ ל ם מ ן נ ס ע ף פ ץ צ ק ר ש תװ ױ ײ ׳
(Unicode:05D0~05F3) ヘブライ文字|学会誌・学術印刷全般・学会事務委託なら中西印刷آ أ ؤ إ ئ ا ب ة ث ج ح خ د ذ ر ز س ش ص ض ط ظ ـ ف ق ك ل م ن و و ي ى ١ ٢ ٤ ٥ ٦ ٧ ٨ ٩ ٪
٭ ٮ ٯ ٱ ٳ ٴ ٵ ٶ ٷ ٸ ٹ ٺ ٻ ٿ ځ ڀ ڂ ڃ ڄ څ چ ڈ ډ ڊ ڋ ڌ ڍ ڎ ڏ ڐ ڑ ڒ ړ ڔ ڥ ڕ ڗ ڙ ښ ڛ ڜ ڝ ڞ ڟ ڣ ڤ ڥ ڧ ڨ ک ګ ڪ ڬ ڭ ڮ گ ڰ ڱ ڳ ڴ ڵ ڶ ڷ ڸ ڹ ڻ ڼ ڽ ھ ڿ ہ ۂ ۃ ۄ ۅ ۆ ۇ ۈ ۉ ۊ ۋ ۋ ۍ ێ ۏ ې ۑ ے ۓ ە
※非文字を含む (Unicode:0600~06FF) アラビア文字|学会誌・学術印刷全般・学会事務委託なら中西印刷