使用衛星数や測地系に関する注意事項

使用衛星数は、4未満では信用できるデータとならない

ここではその理由を、GPSの原理を簡単に解説することで示します。

GPSは電波が一定の速度で伝わることを利用し、衛星から送られてくる時間のデータと、受信機の内部時計から得られる時間との差から、衛星との距離を割り出します。

観測者は1つの衛星のデータにより、その距離を半径とした球面上のどこかにいることがわかります。同様にさらに2つの衛星との距離を割り出すことで、3つの球面が重なる点がうまれ、そこが観測者の座標となります。

これで座標は求まるのですが、それを受信機の内部時計を基準にしていることに問題があります。もしこの時計に誤差があれば、それがそのまま測位した座標の誤差となるのです。そこで4つ目の衛星を基にこの内部時計を補正することで、時計による誤差をなくすのです。

以上のことより、信用できるデータを得るには、最低4つの衛星が必要なことがわかります。

緯度、経度によって示される位置は、地図によって異なる

経緯度は地球上のある一意の位置を示すように考えられますが、実際にはそのようになっていません。これは経度の基準となる子午線 (東経0度) を、各国が独自に定めていたことによります。

日本では平成14年から、経緯度を世界測地系 (ロンドンの旧グリニッジ天文台を東経0度とする) を基準にすることになりましたので、新旧の地図では測地の基準が異なっています。これによって、選択する測地系によっては400mほどの誤差が生じることになりますので、事前に地図のそれを確認する必要があります。GPSで地形図上の位置を確認するときの注意|国土地理院

地図サイトの測地系 (Datum)

地図サイトによって採用している測地系が異なるため、同一の経緯度を指定しても地図上の位置が異なることがあります。例として、2つのサイトで北緯35.65538度、東経139.74876111度の地図を表示してみます。

Yahoo!地図 (日本測地系) Googleマップ (世界測地系)

座標データは個人情報

GPSの自作をされている方のサイトにおいて、測地した座標データをそのまま公開されている方を多く見受けます。しかし経緯度は地球上のある一点を示すもの、つまり住所にあたるものです。これがもし個人の家であれば、地図からその住所を特定するのは容易なことです。ですので座標データの扱いには十分に注意を払うべきです。